新築の一戸建て注文住宅を建てる場合、自分でログハウスをおっ建てる方以外は、専門家に依頼することになります。その依頼先には、大きく分けて3つの選択肢があります。
その選択肢は、①ハウスメーカーに依頼する、②工務店に依頼する、③建築設計事務所に依頼する。
この記事では、3つ目の「新築一戸建てを設計事務所に依頼するメリットと気になる費用面」についてまとめてみました。
設計事務所で新築住宅を建てるメリットは、デザインの質と自由度
設計事務所とは一般的に、一級建築士の国家資格を持った「建築士」や「建築デザイナー」と名乗る方が、お一人または複数集まって、住居やビル、大型施設などの設計をメインに、施工まで行っている事業所、会社組織のことを言います。
ちなみに私の友人は、夫婦で一級建築士をやっています。夫は工場などのプラント専門建築会社に勤務、妻は建築系専門学校で講師をやっているため、ここでのテーマとなっている「一般住宅を設計施工する建築士」ではありません。まあ、建築士と行ってもいろいろな種類があるということです。
流行の最先端を行くデザイナー住宅や、完全オーダーメイドで自分たちのこだわりが詰まりに詰まった新築一戸建てを建てたいという場合には、設計事務所に依頼するのがベストでしょう。
大手ハウスメーカーも「自由設計」をウリにしている会社はありますが、設計事務所ほどのデザインスキルや自由度を求めることはできません。設計やプランの自由度が非常に価格、家族それぞれの要望、夢を実現するためには労力を惜しみません。間取りはもちろん、設備、壁紙、外観デザインなど、こだわれるポイントは無数にあります。
どうしても建てたい「理想の家」があるなら、設計事務所で建てるメリット大
建築士・設計事務所というある種「家づくりに関する特別なセンスと能力」を持った方と一緒に家を建てることの最大のメリットは、施主であるこちら側の要望・希望・夢をとことん追求し、その理想にあった家づくりを実現してくれるということでしょう。
ハウスメーカーなどでもある程度の「自由設計」は可能ですが、本当の意味での「自由な家づくり」が楽しめるのは建築士・設計事務所に依頼した方が間違いありません。家を本当にゼロから作るのですから、デザインはもちろん、機能性、素材、スタイルなど様々な要素にこだわりを持って、家を建てることができます。
また理想に近づけるということは「無理が効く」ということでもあり、大手ハウスメーカーでは断られそうな案件(デザインが奇抜とか、狭小地で家を建てるのが難しいとか)でも、相談にのってくれる可能性は高いです。
そういった施主が出してくる様々な条件をどうやってクリアして、施主の理想にできるだけ近いプランを作りあげるか。それが建築士の腕の見せ所です。
設計事務所に新築住宅を依頼した場合の費用は、工事費全体の10〜15%
設計事務所で家を建てる場合、「施主が気になることランキング」のベスト3に入るのは、「費用はどうなの?」という点です。
建築設計事務所に新築住宅を依頼した場合、設計管理費として工事費全体の10〜15%程度の費用が発生します。ハウスメーカーなどの場合は、こうした設計管理費はコミコミになっている場合が多いので、建築設計事務所ならではの特徴といえるでしょう。
設計が完成した後の工事は、基本的に設計事務所が提携していたり、紹介してくれる施工会社で行うことが多いです。その点は自由度が低くなると言わざるを得ませんが、その建築士の設計や特徴をより理解している施工会社と考えれば、お任せするのも悪い選択ではないでしょう。
ただ、見積もりの内容や疑問点などがあれば、遠慮なく質問や問い合せをして、納得できる形で最後まで施工していただくようにすることが重要です。
ハウスメーカーで家を建てる一般的な場合の新築住宅建築費用については、こちらの記事「家を建てる費用の内訳を知ると、どこを安くできるかが見えてくる!」にまとめてありますので、合わせてどうぞ。
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新築住宅を手がける設計事務所の特徴
設計事務所といえば、東京の一等地におしゃれなオフィスを構えているというイメージがありますが、当然、全国に存在します。彼らは一種の芸術家なので、住む場所や活動地域にもこだわりを持っている場合が多いです。
自然素材をふんだんにつかったナチュラルテイストの家が好きで、田舎暮らしを始めるべく地方に設計事務所を設立する人もいれば、東京の建築士事務所で経験を積んだあと、地元で自分のオフィスを構える人もいます。
一戸建て住宅の場合、東京など都市部に比べて、土地のある地方の方が需要があるという理由もあると思いますが、地方在住で全国を飛び回り、魅力的な家や様々な建築関係の賞を受賞している有名建築士も多数存在します。
設計事務所の情報は、WEBサイトや建築情報誌などを参考にして調べると良いでしょう。どれもおしゃれな家の写真やこだわりポイント、間取り図、建築士のインタビュー記事などが掲載されていて、設計事務所選びの参考になるでしょう。
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設計事務所で一戸建て注文住宅を建てる時の仕事の進め方
建築士の仕事は、家主の要望に基づいて、具体的な家のスタイル・デザインを生み出し、細部に至るまでこだわりを詰め込んだ家づくりの設計図を創造することです。設計が終わった後は、施工会社におまかせという設計事務所もあれば、施工から完成まで、すべての工程に積極的に関わるという建築士もいます。
重要なのは、設計事務所や設計士によって得意とする分野があるということ。
作りたい家がナチュラル系なのか、モダンタイプなのか、それとも南欧プロバンス風なのか、アメリカンスタイルなのかによって、依頼する設計事務所も変わってきます。その辺りは、WEBサイトや雑誌などの建築施工例を調べて、好みの家を作っている設計事務所を見つけなければなりません。
設計事務所の場合、新築住宅を建てる期間は長めになるのが一般的
いろいろと情報を集めて、依頼する設計事務所を決定したときから、家づくりが本格的にスタートします。
建築士にオーダーメイドの家をお願いする場合、何度も何度も打ち合わせを重ねて、お互いの想いや要望、現実的な費用や素材、工法の部分などをすり合わせて行く作業が続きます。当然、設計が完成するまでの期間は、通常のハウスメーカーに依頼したときより長くなり、労力もかかります。
最初の打ち合わせから、設計、施工が終わり、家が完成するまでは、だいたい最低10〜12ヶ月ほどかかると思って間違いないでしょう。
ちなみに、私の友人は、建築設計事務所に依頼をして注文住宅を建てましたが、スタートから数えて完成までに丸5年かかりました。いくらなんでも長すぎると思いますが...
設計事務所で気になるのはアフターサービス
一般的に大手のハウスメーカーほどアフターサービスの体制が整っています。建築士や設計事務所の場合は、その建築士のスタンスによって対応は様々でしょう。
「自分は家をデザインしてつくるのが仕事」というアーティスト基質が強い建築士の場合、「家が建ったあと」には興味を持たない、あまり関わらないという人もいます。もちろん、自分の関わった家のその後もしっかりとサポートしてくれる方が施主としては、ありがたいものです。
家の場合、建てた後も不具合の修正やちょっとした直し、数年ごとのリフォームなどが必ずついて回ります。「家をつくった人=建築士と施工チーム」の協力は必要不可欠ですので、アフターフォローについても積極的に関係してくれるか、長く良い関係を続けていけるかという面も、設計事務所選びでは重要になります。
自分たちに合った設計事務所を見つけることが重要
設計事務所の場合、それぞれと得意な分野やデザイン、工法などを持っていますので、自分たちが建てたい家のプランに合わせて、最適な建築士・設計事務所を見つける必要があります。家に対する価値観が合わないと、なかなかお互いの主張が噛み合わず、家づくりもうまく進みません。
建築士や設計事務所のホームページ、雑誌などに掲載されたインタビューや施工事例などをよく調べ、その建築士がどういう人で、どういう家をつくるのかといった情報収集を行いましょう。ある程度、候補となる建築士を選んだら、実際に設計事務所を訪れて、打ち合わせをします。
話しやすい人かどうか、家づくりに対する理想や価値観を共用することができそうか、この人と一緒に家づくりを進めていけそうか。自分の直感を信じて、しっかり判断しましょう。
設計事務所で家を建てるなら理想や要望は遠慮せずに伝える
設計事務所に家づくりを依頼した場合、家づくりはまさに建築士との二人三脚です。ハウスメーカーの営業担当とは異なり、より深く、施主やその家族と関わりつつ、家づくりが進んでいきます。
建築士とは「なんでも相談しあえる関係」を作り、多少無理そうな相談でも、まずは相談をしてみることが大切です。
そこで「それはできる・できない」の判断をしてもらえますし、「こっちのプランはどうでしょう」と代替案を示してくれることもあります。そういった別の良い方法があるということも、まずは相談してみないと出てきません。
建築士とのやりとりに遠慮は無用です。あちらもそれ相応の報酬をもらって仕事をしているプロですから、後悔のないように対話をしていきましょう。
建築士は頼れる専門家ですので、いざというときは何でも相談してみることです。例えば、間取りや設備など、家のことで家族の意見が割れたときなどは、建築士に相談して判断をあおぐのがベストです。
信頼している建築士の言葉であれば、家族の中にわだかまりができることなく、問題を解決できるというものです。
設計事務所に新築一戸建てを依頼するデメリットと注意点
アーティストタイプの建築士がいる設計事務所には要注意
建築士にもいろいろなタイプがありますが、あまりにも「アーティスト気質」が強い場合は要注意です。
デザインや仕様など一部のポイントに強いこだわりがあり、施主の希望とは異なっていても、それを強引にすすめてくるという場合がなきにしもあらずです。そういった建築士にとって、家は「作品」ですから、自分が「これが最高!」と信じて疑わないものをつくりたがる場合もあります。
建築士との人間的な相性が理想の家造りには、とても重要
建築設計事務所での家づくりは、建築士との二人三脚というお話をしましたが、つくる家のテイストが合うことも重要ですが、「人間的に合うかどうか」という点もかなり重要です。
普段生活をしていて「この人とは気が合う・合わない」という感覚は当然、皆さんお持ちだと思います。プライベートでも会社でも、「こいつとは自然とウマがあるけど、あの人とはどうもうまくいかない」という人は必ずいるものです。
建築士と人間的な相性が合うかどうかは、家づくりはもちろん、その後のアフターフォローにも関わってきますので、よくそのヒトトナリを見極めることが重要です。
新築一戸建て建設の現場で経験はあるか?機能性や施工面もしっかり配慮できているか?
私が仕事でお世話になっている工務店の社長さんがこんな笑い話をしていました。
ある一戸建て建設の現場で、施工をしていたときのこと。その家は、建築設計事務所のデザイナーが設計をしていて、かなり凝ったおしゃれなデザインだったそうです。
工事が進み、いざバスタブを入れようとしたら、なんとサイズが違っていて入らない。どうも設計段階で、大きさの設定にミスがあったようで、その後大変な苦労をしてなんとかバスタブを収めたそうです。
その社長さん曰く、「設計事務所を開業するような建築士や建築デザイナーの場合、大学の建築学科を卒業して、現場を経験することなくそのまま建築士として図面を作ったり、家のデザインをしている場合が多く、現場で施工する場合の知識や経験が不足していることが多々ある」ということです。
つまり、実際の施工現場で何が起きて、どのように施工が行われているかを知らない、見たことがないのに建築設計をしているので、今回のバスタブのような「ありえないミスが起こる」こともあるということなのです。
住宅設計というのは、いわばパソコンのCADソフトの中にある机上の空論です。それを実際に現場で「実物の家」として完成させなければならない訳ですから、建築士はしっかりと施工の分野までカバーできる知識を持っていないと、本来、正確な設計はできないでしょう。
そういった「現場の経験あるかどうか」も建築士・設計事務所選びの際には参考になります。
まとめ:設計事務所での新築住宅建築は「究極の家づくり」
設計事務所に家のデザインを依頼するというのは、かなりのこだわりですし、もちろん費用も多くかかる場合が多いです。
それだけ、「こういう家をつくりたい!」という強い理想を持った方々こそ、建築士をパートナーにした家づくりを行うべきですし、その価値があるでしょう。
そういった意味では、建築士へ依頼してオリジナルデザイン・オーダーメイドの家を建てるのは、まさに「究極の家づくり」と言えるでしょう。
ハウスメーカー、工務店、設計事務所。それぞれに、良いところ、イマイチなところありますので、こちらの記事「ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いをわかりやすく比較した!」もぜひ参考にして、自分たちに最適な依頼先を探してください。
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