注文住宅の新築一戸建てで家を建てるという目標を持っている皆さんは、当然、「できるだけ安く、良い家が欲しい」と思っていますよね。それは当たり前です。では、具体的に理想のマイホームを維持しつつ、できる限り安くするにはどうしたら良いのか?まずは、家を建てる費用がどうなっているのか、細かく内訳を知ることが大切です。
家を建てるのにどんな費用が必要で、自分が理想とする家を建てるにはどのくらい必要になっているのかを見積書などで確認すると、「ここがかかりすぎ、もっと削減できる!」というポイントが見えてきます。
今回は、家を建てる費用の内訳に関する基礎知識と、具体的にコストダウンを行うためのポイントを見ていきましょう。
家を建てるための費用がどのくらいかかるかを計算してみよう
一般的に、新築一戸建てに限らず、建て売り住宅、中古住宅でも基本的に必要なお金は変わりません。
ポイント①/一戸建て購入費用のシュミレーション:自分が購入できる家の値段を知る
例えば、貯金がたくさんある人とまったくない人、収入が多い人と少ない人では、購入できる家の値段はもちろん違います。 世知辛い世の中ですが、こればかりはどうにもなりません。
自分たちが購入できる家の値段を算出する方法は以下の通りです。
①自己資金から出す頭金+②住宅ローンを利用した借入金(+親などからの援助金)
この①と②の金額を足したものが、「自分たちが買える家の値段」ということになります。一般的にこの値段は「年収の5倍程度まで」が、安定してローンを払い続けられるリミットとして考えられています。世帯年収500万円の家族なら、2500万円程度ということですね。しかし、現在はローン金利が史上最低とも言われている時代ですので、借りる方も心に余裕があるのか、年収に対する住宅購入資金の倍率は、平均6.5倍にもなっています。(2016年のフラット35利用者調査より)
また、同じ調査によると、住宅購入のために使った金額の割合は平均で3497.7万円とこちらも高めになっています。家を建てる地域によっても大きく変わりますが、最も多かったのは3000万円台前半となっています。
ポイント②/建てる家本体の物件価格以外にも諸経費や生活費も考える
チラシやホームページなどで家の情報を見ていると、当然ながら家の価格が気になります。好みにあった良さそうな家を見つけて、金額を見てみると「おっ、これなら買えそう」となると、俄然気分も盛り上がってきます。
しかし、ここで重要なのは、住宅購入に必要なのは物件価格だけではないということ。土地がなければ、土地も購入しなければなりませんし、土地によっては整備費用がかかる場合もあります。その他様々な諸経費も考えると、一戸建ての場合、物件価格の5〜10%程度の別途費用が必要と考えられます。3000万円の家なら、150〜300万円ということです。
中古住宅や土地の場合は、さらに仲介した不動産業者への仲介料なども発生する場合があるので、その点も注意が必要です。もちろん、こういった諸経費も住宅ローンの中に含めることはできますが、できる限り自己資金でまかなった方が無難です。
新築一戸建て購入に必要な費用を流れに沿って整理してみよう
一戸建て住宅を購入する時には、そのタイミングごとに支払うべき費用がだいたい決まっています。物件や土地を買う、何かの手続きをするという際には、決まってお金を払うという行為がついてまわると考えて良いでしょう。その住宅購入にまつわる諸費用の支払いタイミングをイベントごとの時系列にならべて整理してみます。
①物件購入契約の締結・購入申込時
- 契約書類に貼る印紙代
- 物件購入・工事費用などの一部を支払う手付金
②土地の購入・調査・地盤改良
- 土地を購入する代金
- 正確な土地の大きさを計測する測量代金
- 地盤調査の費用
- 盛り土など土地改良に必要な費用
③住宅の企画と設計(一戸建ての場合)
- 住宅の設計費用
- 工事請負契約書などに使用する印紙代
自由設計の一戸建てや建築士事務所に設計を依頼する場合は、設計料が発生します
④工事
- 住宅を建築する本体工事費用
- 地盤や水道などのインフラ、門扉など外構の工事も含めた付帯工事費用
古い家を壊して立て直す場合は、解体工事費や建物滅失登記費用などがかかります。
⑤工事完了・転居・新生活スタート
- 引越し費用
- インテリアの購入費用
- 登記費用
- 地震保険、火災保険などの保険料
- 住宅ローンの支払い
- 頭金の支払い
- 各種税金
「家を買う」となるとどうしても、チラシやホームページに書いてある「本体価格」のみを気にしてしまいますが、実は本体価格とは別に多くの費用がかかります。それも踏まえて資金計画を行っておかないと、「聞いてないよ〜」とユニーク三人組の定番ギャグを口にすることになりますので注意が必要です。
家を建てる予算をできるだけ安くするための方法をチェックしてみよう
良いものをできるだけ安く買いたい。それは、私たち庶民が買い物をする時の鉄則です。住宅の購入ももちろん同じ。
普段バナナを買う時は、99円にするか、158円にするかと悩みますが、家の場合は2500万円にするか、3000万円にするかで悩むのですから次元が違います。できるだけ希望に沿った「理想に近い家」をできるだけ安く、リーズナブルに買いたい。そのために実行するべきポイントをまとめました。
①間取りや屋根はシンプルに
家の場合「シンプルなつくりやデザイン」の方が、費用が安く済む傾向にあります。例えば、間取りや屋根の形。総二階の四角い家で、シンプルに内部を区切った間取り、屋根の形も片流れ(片側が高く、一直線に低くなる形)にした方が費用は一般的に安価です。
②設備や内装、インテリアに凝りすぎない
照明、造り棚、フロア材、サッシ、キッチン、流し台など、家の内部のこだわりポイントもたくさんありますが、そこをこだわればこだわるほど、費用は高くなっていきます。予算に合わせてほどほどに。家をつくる段階でしか対応できないもの(例えばシステムキッチン)などを優先して、家を建てた後でも変更できるものについては、少し落ち着いてからでも遅くありません。
③断熱性能・気密性能は重視する
最近の一戸建て住宅は、断熱性や気密性の良さを1つのポイントとして、各社がアピール合戦を繰り広げています。なぜこの部分が重要かというと、家が出来てからの暮らし、特に冷暖房や暮らし安さに直結するからです。
断熱性、気密性が高ければ、冷房や暖房を弱めに設定していても、快適に過ごすことができますので、結果的に電気代などの削減につながります。結果的には経費削減が実現できるということです。
④高額なオプション品は避ける
理想の家づくりを目指していると、あれもこれも欲しくなっちゃうものです。しかも「ああ、これいいなあ」と思う設備ほどオプションになっています。世の中、うまく行きません。
もちろん、資金に余裕があるなら、これはと思うオプションはつけた方が後悔しないです。ただ、「とにかく安くしたい」という場合には、我慢しなければなりません。普段は子どもに「我慢しなさい」と言っていますからね。ここは見本を見せるチャンスだと思いましょう。
具体的なコストダウンの方法は、新築注文住宅の費用を抑える具体的な3つの方法【コスト削減案】にまとめてありますので、ぜひ読んでみて下さい。
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ローコスト住宅はなぜ安く建てられるのか?
「ローコスト住宅」というのは、新築一戸建て住宅の定番となっています。シンプルで規格化された住宅デザインと部材の大量発注による経費削減、広告費や人件費など削れるものは削りに削って、その分住宅購入費用を抑えるという手法です。
自由設計の複雑な間取りより、総二階のシンプルな間取りの家の方が、安く作れます。規格化されたサンプルの中から選ぶ「セミ一戸建て」のようなスタイルなので、部材の大量発注が出来て、その分コスト削減できるという訳です。施工についても、下請けの工務店などが行う場合が多いです。
ローコスト住宅は必ずしも「安かろう、悪かろう」というわけではありませんが、一つ一つの設備のグレードがちょっとずつ低くなっていたり、通常は標準でついている設備がオプションになっていたりと、「安くなっている理由」が確かにあります。しかし、1000万円代からマイホームを建てることができるというお手軽感は、やはり魅力です。ただ、チラシやホームページに「1000万円の家」と書かれていたからといって、それだけで家が変えると思ったら大間違いなのです。
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一戸建て注文住宅の価格総額と坪単価のからくり
住宅価格は、物件価格(本体価格)+土地代+諸経費+各種オプション費用を合わせると、本当の総額が分かります。ローコスト住宅の宣伝戦略の場合、大きく打ち出すのは「物件価格(本体価格)のみ」です。「一戸建て800万円の家!」なんて出ていると、「それは安い!」と思ってしまいますが、それこそ住宅会社の狙いです。
また、ローコスト住宅の場合は、坪単価は30〜40万円程度の場合が多いですが、この部分にも注意が必要です。絶対欲しくなるようなオプション費用については、坪単価に含まず計算している場合もあり、値段だけではなく、物件概要についてもしっかりチェックする必要があります。
安さにこだわるなら、中古住宅を買ってリフォームするのも1つの手段
新築にはこだわりはない、とにかく安くて良い家が欲しいという方であれば、中古住宅にも手をのばしてみることをおすすめします。近年は、築浅で手放されてしまった優良な中古一戸建て住宅がかなり多く存在しています。スーモやアットホームなどの検索サイトで住みたい地域の物件を検索してみると、意外な掘り出し物が見つかるかも知れません。
住宅会社のリフォーム技術もかなり進歩していいますので、安く中古住宅を購入し、浮いた分のお金でリフォームを行って新品同様の理想のマイホームを手に入れるなんてことも夢物語ではありません。大手ハウスメーカー施工の物件だと、30〜60年保証がついている場合が多々ありますが、中古で購入しても、そういったサポートは継続して受けられることがほとんどなので、安心してください。
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まとめ:費用内訳が詳しく書かれた見積もり書をしっかり比較しよう
家を建てるとなると、項目もたくさんあるので、頭の中がこんがらがってしまいますよね。一戸建て注文住宅のどの部分に、どれくらい費用がかかっているのかを知るには、ハウスメーカーが出してくれる見積もりを確認するのが一番確実です。
皆さんが気になっている複数のハウスメーカーに「同じ要望、間取りプラン、設備、仕様」で見積もりを依頼してみてください。それを詳しく比較することで、どこがコスト削減ポイントなのかがよく分かります。いわゆる「相見積もり」という手法ですね。
ちなみに、比較するのは、3社がベストです。詳しくはこちらの「【注文住宅】家を建てる見積もりは何社必要?に答える必読3パターン」で説明していますので、読んでみてください。
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