一戸建て注文住宅を建てる時に、最も重要なことの1つが、「いかに信用できて、良い仕事をしてくれるパートナーと出会うか、探し出すか」ということです。このパートナー選びを失敗すると、家づくりは大失敗。理想の家どころか、住むのも嫌な欠陥住宅が出来上がってしまうリスクも、ゼロではありません。
多くの場合、家づくりのパートナーは、①ハウスメーカー、②工務店、③設計事務所を比較して、そのどれかから選ぶことになると思います。
それぞれおすすめなのは、
- 価格は多少高くなっても、安心感と充実した保証・サポートが欲しい人⇒ハウスメーカー
- 価格を下げたい。または人柄や個人の技術力で選びたい人⇒工務店
- デザインやコンセプト重視でとにかく理想の家を実現させたい人⇒デザイン設計事務所
となります。
では、詳しく見ていきましょう!
新築注文住宅を建ててくれるハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いを比較してみよう
一戸建て住宅を建てたいと思った時、まっさきに思い浮かぶのが、ハウスメーカーだと思います。ヘーベルハウス、セキスイハウス、トヨタホーム、タマホームなど、テレビCMも放送している有名ハウスメーカーがたくさんあります。
また、街を歩けば、地域に密着して家づくりを行っている工務店もありますし、個性的な家をてがける設計事務所もあります。それぞれに特徴やメリット、デメリットがありますので、その辺りをまず整理してみましょう。
①ハウスメーカーの特徴は、大手企業の安心感と充実した長期保証・サポート
ハウスメーカーの中にも、全国展開している有名な会社もありますし、地域やエリアを限定して営業している中規模店もあります。前者は、ヘーベルハウスやセキスイハウスといった有名どころ。後者は、例えば埼玉県を中心に営業しているハウスメーカーでいえば、富士住建や横尾材木店といった会社になるでしょう。
基本的には自由設計の注文住宅を作る会社ですが、コスト削減や低価格化を行うために独自のプランや規格を作成し、セミオーダーメイドの住宅をつくるのが主流になっています。
ある一定のルールの中では自由な間取りや仕様設定ができますが、そのルールを外れた規格外になると別に費用がかかったりということもあるので注意が必要でしょう。家を作ることが工業化されていて、しっかりとシステムができているため、工期も比較的早く、スムーズです。
ハウスメーカーを選ぶ大きなメリットとすれば、①大きい企業だからこその安心感、②充実した保証とサポートということになります。
10年、20年後もしっかりと会社が存在していて、いろいろとサポートしてくれる。その安心感は、60年保証をうたっているハウスメーカー(私はセキスイハイムの家在住)施工の家に住んでいると実感できます。
よく「大手ハウスメーカーは広告費が上乗せされているから〜」なんてことを言いますが、そんなものはどこの業界でも同じですし、大きくても小さくてもあることです。むしろ、「テレビでCMをやっているくらい大きい会社なんだ」というところに、メリットを感じるべきでしょう。
デメリットとしては、やはり金額が高額になることでしょう。特に注文住宅、自由設計となると価格は高くなりがちです。
家自体はそのハウスメーカーの製品でも、施工をするのは自社ではなく、下請けの下請けの下請けの工務店といった場合もあるので、注意が必要です。結局、家を建てるのは下請けの大工さんや工務店なので、その会社や職人さんが手抜きをしてしまうと、ハウスメーカーの名前だけが燦然と輝くろくでもない家が出来てしまいかねません。
- 大手ハウスメーカーのブランド力は魅力
- 長く安定した保証とサポートが欲しい
- 家を買う予算はそれなりに確保している
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②工務店の特徴は、地域密着やコミュニケーションのしやすさ、職人の技術力に注目
多くの工務店は、少数経営のため、各担当者と直接やりとりできる機会なども多く、細かい話し合いができ、要望が伝わりやすいというメリットはあります。ハウスメーカー以上に、工務店ごとの特徴や得意な家のタイプなどがありますので、自分たちの理想の家に近い家を実際に作っている施工事例などがあれば、依頼をしやすいと言えるでしょう。
例えば、「自然素材をふんだんにつかった木の家」などを得意にしている地域密着の工務店は多いです。
工務店の場合、社長さん自身が大工さんという場合も多く、一緒に家を作る仲間たちも実力主義の職人集団を抱えていることがあります。実際に施工をする大工さん、職人さんと話をして直接希望を伝えられるというのは、小規模な工務店ならではのメリットでしょう。
大手のように営業担当、設計士、施工担当、現場監督と細かく役職が分かれていないので、風通しがよく、話がスムーズに進みやすくなります。
費用の面でいえば、大手ハウスメーカーより経費は少なくて済みますし、大手ハウスメーカーに対抗するために「リーズナブルな価格」を掲げていることも多いので、安くできる可能性も高くなります。
デメリットは、モデルハウスなどを所有していない場合もあり、資料や見本という部分では大手ハウスメーカーにはかなわない場合が多いです。また、経営規模が小さいので、倒産や跡継ぎの不在、スタッフの離職によるクオリティの低下なども懸念されるところです。当然、アフターフォローについても心配な部分があり、会社自体がなくなってしまえば、その後のフォローは一切期待できません。
最近は、どの工務店も「二代目、三代目がいない」というのが深刻な問題のようですので、「不具合を直してもらおうと思ったら会社はないし、図面もないし困った」なんてこともありえます。
- 人柄を見て、信頼できる人にお願いしたい
- 一戸建て注文住宅をなるべく安く建てたい
- 地域密着で気楽に相談できる関係をつくりたい
工務店には、その経営規模やタイプによって3つの種類があります。タイプによっても、建てる家や家づくりの進め方が違ってきますので、要チェックです。詳しくは、こちらの記事【新築住宅】工務店の種類を3つに分類!特徴とメリットを分析した!で詳しく書いていますので、読んでみてください。
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③設計事務所の特徴は、デザイン・仕様・細かい部分にとことんこだわる理想の家
とにかく、「自分が理想とするこういう家が欲しい」という場合は、設計段階で自由に家づくりができる設計事務所に依頼するのがベストでしょう。
大手ハウスメーカーや工務店ではできない、ユニークな間取りや、特殊な部材を使った家づくりなど、様々な要望に対応してくれます。設計費用は当然高くなります(設計料は一般的に、建築工事費の10〜15%程度)が、その分、完成した時の満足度は、規格住宅の比ではないでしょう。
デメリットは、「世界に1つの家」であるため、完成するまで実際にどうなっているのか分からないという点です。現在はCADソフトが3Dプレビューに対応していて、ディスプレイの中で設計した家の中を歩き回って出来上がる家を体感することができるサービスなどもあるので、対応してくれる設計事務所を選ぶのも1つの手です。
また、まったく白紙の状態から設計をして家づくりを始めますので、どうしても時間がかかります。私の友人も、こだわりの家を設計事務所に頼んで作りましたが、家づくりスタートから実に5年もの歳月をかけて、やっと完成しました。これはちょっと長すぎですが、長期化も覚悟しておいた方がよいかもしれません。
さらに、重要なのは、設計担当者との相性です。設計事務所は、基本的に一級建築士を持った設計士の個人事務所である場合が多いので、その建築士との相性やフィーリングが合うかどうか、好みが合致しているかどうかで、家づくりのやりやすさ、完成した家の満足度が変わります。
設計事務所で注文住宅を建てるメリットや費用面については、こちらの記事「新築住宅を設計事務所で建てるメリットと気になる費用は実際どう?」で詳しくまとめてあります。
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- 設計費も含めて、費用は多少高くなってもかまわない
- 気に入った家を建てるためなら、完成までの期間は長くても大丈夫
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まとめ:自分の希望とベストマッチするパートナーを選ぶことが、理想の家を建てる近道
ハウスメーカー、工務店、設計事務所、それぞれに特徴はありますが、一番重要なのは「自分たちが建てたい家はどんな家か、そしてその希望を実現してくれるのはどこか?」ということです。
あなたが最も重要視するのは、「安定安心」なのか、「価格の安さ」なのか、それとも「理想の家を実現すること」なのか?一般的に地域密着の工務店は費用総額が低くなる傾向にありますが、もちろん、ハウスメーカーや設計事務所でも工夫次第で費用を安くして家を建てることはできます。
要するに「ああ、ここで家を建ててよかったなあ」と最後に思えるかどうか、ということです。良い家が建ってしまえば結果オーライ。そのためには、家づくりの最初の段階で「パートナー選び」をしっかりやっておく必要があるのです。
今回ご紹介したハウスメーカー、工務店、設計事務所の特徴をふまえて、ぜひ一緒に理想のマイホームを建ててくれる最高のパートナーを探し当ててください。