新築一戸建ての間取りのトレンドを見てみると、「廊下が少ない、ほとんどない」間取りが多くなっているし、好まれる傾向にある。
これは
メモ
- よりリビングや部屋を大きくしたいという要望が多い
- 廊下がないと各部屋へのアクセスが良く、生活動線・家事動線が短くなる
- プライベート空間より、家族のコミュニケーションを重視しがち(家族の顔が見える家)
- 温度調節が出来ているリビングから、いちいち暑かったり寒かったりする廊下に出なくても移動できる
などの理由が考えられるだろう。
田舎の大きな和風建築の家などは、建物の面積がありあまっているので、廊下をたくさん作れる余裕があった。
その点、現代、特に都会では、車の駐車スペースにも苦労するくらい「狭い面積」の中に必要な部屋を配置しなければ行けない関係上、「無駄なスペース」ともいえる廊下を排除するという流れになっている。
しかし、廊下は移動するだけのデッドスペースではあるものの、使い勝手によっては、家を住みやすく変えてくれる「プラスの要素」にもなり得る。
廊下を「無駄なもの」と考えるか「贅沢なオプション」と考えるかは、施主のあなた次第である。
廊下のある家を新築するメリット。代表的なのは「生活音」の問題
先ほどは、「廊下のない家のメリット」をご紹介したが、「廊下のある間取り」で作った家にメリットはないのか?
そんなことはない。
廊下のある家を建てるメリットはいくつかあるが、一番生活に影響が大きいのが「音」の問題だろう。
廊下がない間取りの場合、キッチン、洗面所、トイレといった「音が出る部屋」とリビングやダイニング、各居室が隣接している場合が多くなる。
暖房で暖まったリビングやダイニングから寒い廊下を通らずに洗面所やバスルームに行けるというメリットはあるが、それぞれの部屋からっ発せられる様々な「音」は、かなりダイレクトに聞こえてくる。
さらに、廊下のない間取りで代表的なオプションである「リビング階段」があれば、一階の音が二階へ、二階の音が一階へ漏れるやすくなる。
その点、廊下とドアを使って各部屋の距離をとっている「廊下のある家」であれば、リビングで静かにくつろいでいる時に、トイレを流す音が聞こえてきたり、ドライヤーのブワーが気になったり、お風呂のフタをどんがらどんがらしめる音が漏れてきたりといったことはないだろう。
また、廊下を上手く使って「回遊しやすい間取り」を作ることで、生活動線や家事動線をすっきりさせている間取りもある。
いちがいに「廊下=悪」という訳ではないのである。
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廊下のある家の間取り事例。セキスイハイムの木造系プランを参考に。
こちらはセキスイハイムの木造系プラン「グランツーユー」の中で紹介されている廊下のある家の間取りプランである。
「パパママ個室」というタイトルで、2階にある夫婦の寝室に、パパとママそれぞれの「プライベートルーム付きウォークインクローゼット」があるという珍しいスタイル。
ただ、注目して欲しいのは、そこではなく「廊下」。
玄関を入ると、まっすぐに廊下が伸びていて、右手に洗面所、バスルーム、トイレが並んでいる。
正面はリビングに隣接したタタミルーム、ドアを開けるとLDK。
LDKとタタミルームがつながっていて、出入り口が複数あるため、回遊性が高く、非常に動きやすい生活動線が確保されている。
階段自体はリビングにあるので、そこからの「騒音問題」と「冷気問題」は心配の種だが「すべてが完璧な家、間取り」などあるはずがないので、スルーしよう。
階段を上がると二階。そこにも廊下があり、子ども部屋と夫婦の主寝室をドアと空間でしっかりと隔てている。
平屋で廊下のある家はどうなのか?「トヨタホームの間取りプラン」に見る効果的に廊下を活用するプラン
平屋の場合、どうしても1フロアしかない分、2階建てより建物の面積は少なくなってしまいがちだ。
トヨタホームで紹介されている家のプランでは、平屋の弱点を補いつつ、しっかりと廊下を組み込んだ「廊下のある平屋の間取り」を提案している。
玄関ホールから3方向に伸びる廊下。
それぞれ主寝室、洋室、トイレ、洗面室、バルルームにつながっている。
しかもLDKへの入り口は2種類あり、こちらも生活動線を考えた作りになっている。
家事動線の部分では、キッチンから洗面室にダイレクトに入れる他、洗面室の反対側にはランドリースペースと物干し場が用意されており、「奥様の家事における利便性」よく考え抜かれた間取りになっていると言えるだろう。
廊下を作ったことにより、少なくなった収納スペースは、2階部分の小屋根裏収納が補ってくれるはずだ。
結論:廊下を上手に使うことで、生活しやすい間取りは作れる!
現在「廊下のない家、少ない家」がもてはやされる時代ではある。
確かにデッドスペースになり得る廊下が少なく、居室スペースにゆとりがあることは良いのだが、音の問題や温度の問題など、「廊下があることで解決できること」も少なくない。
家族構成や生活スタイルに合わせて、「廊下をどうするか?」も間取りプランを考える際の重要ポイントとして、頭の中にしっかり入れておきたいものである。
廊下のない間取りも、廊下を活かした間取りも、どちらも「無料間取り作成サービス」で作成可能です。
ちなみに、「廊下のない間取り」についても実例をまじえてご紹介しているので、ご覧あれ。